「幾何学の精神」と「繊細の精神」
上記はパスカル「パンセ」第一章第一節のキーワードです。

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先週、ひょんなことから「パンセ」を読む機会があり、この言葉について考えていたのですが、今日、渋谷から電車の中で読んでいた東京新聞夕刊の哲学者中島義道さんへのインタビュー記事の中に、偶然この言葉を見つけました。中島義道さんのインタビュー記事は、東日本大震災後の日本人の精神状況についての書かれたものでした。

「今は『頑張ろう』のメッセージばかりが目立ちます。この言葉自体に反対はしませんが、テレビCMで有名人が『頑張ろう』と言い続け、マスメディアで何度もくり返されるほど、言葉の意味が退化し、空疎になっていく。津波にのまれ、目前で自分の肉親を失った人は、頑張りたくなく、頑張ろうにも頑張れず、場合によったら自分も死にたいかもしれない。…目下メディアをにぎわしているのは『心温まる家族間の話』であり…法的に認められた家族だけです。不倫相手を失った愛人とか、同性愛の恋人を亡くした人などはまったく抹殺され、天涯孤独な人も、家族を激しく憎んでいる人も切り捨てられた『健全な』家族の美談だけです。」(東京新聞5/17号夕刊)

「震災後、さまざまなイベントや行事が自粛され、それは他人にも同様の自粛を求める「他粛」の風潮になっていますが、みなそれを無自覚に受け入れて、互いに自粛し合い「いい人」しか出てこない今のような言論状況は、私には不気味な感じさえします。」(東京新聞5/17号夕刊)

「今回の大震災で日本人の良い面、悪い面がすべて出たのではないでしょうか。被災者たちの品格ある穏やかな態度、全国からの励ましの声などにあらためて日本の良さを確認する一方で、日本人の『哲学的にものを見る目』すなわち『繊細の精神』はまったく育ってないように思われます。」(東京新聞5/17号夕刊)

「パスカルの定理」を発明した数学者パスカルと「人間は考える葦である」と言って近代学問の祖デカルトを批判して、己の矛盾をまるごと引き受け、矛盾の中で最後は宗教家として死んでいったパスカル。

「物事を一般的、客観的、論理的に割り切ろうとする『幾何学的精神』」に対立する「限りない矛盾に満ちた個々のものをそのままとらえようとする『繊細の精神』」

「オーガニック」とはその中間にあって双方を行き来するものかもしれません。世の中全体が「原発推進」を容認していた時に「NO」と言い、世の中全体が急に「脱原発」になった時にはちょっと立ち止まって考えてみる。「オーガニック」とは継続であり、関係であり、生命であり、だから簡単に割り切れない矛盾をたくさん含んだものなのかもしれません。

(written by わたのはな)

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by ten_i_muhou | 2011-05-17 23:51 | わたのはな
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