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中沢新一さんが新しい「緑の党」の結成へ
 昨日秋葉原で「ビジネスブレインストーミング・カフェ」に参加してきました。そこで、主催者の平川克美さんから本日(5/14)「大津波と原発」が発売されるというお知らせがあったので、早速購入し、東京への行き帰りと、途中で立ち寄った喫茶店の中で読み終えました。「大津波と原発」は4月5日にUstreamで配信された内田樹、中沢新一、平川克美の3名による鼎談を朝日新聞出版社が単行本にしたものです。

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 この本の特徴は、3・11の大地震と、それに起因した福島原発事故を、東電の組織体質や、政府の対策の場渡り性や、マスコミの報道規制などの表層上の問題として取り上げるのではなく、原発問題の本質を人類が抱えた思想問題として、文明史的な観点から把握しようとしていることです。

 ここで、特筆すべきは、中沢新一さんが「原発」について次のように述べている点です。

 「ようするに、化石エネルギーとして使われたものは生態圏の中に受け入れられる形態に媒介変換されてきたわけです。化石エネルギーは大変有効ですし、人間の科学技術で十分にコントロール可能なものです。なぜかというと、化学反応でエネルギーを取り出しますから、そこに関係しているのは、原子核の周りの電子の結合様式だけなんです。」(p50)

 「ところが原子力エネルギーというのは、、そういうものとはぜんぜんちがうところから、つくられてきている。なにしろ原子核に手をつけるわけですから。」(p50)

 「原子核を結合している核力エネルギーを取り出す技術です。ところが原子核から放出されるエネルギーは今まで一度たりとも、生態圏を通過することによって媒介されていないのです。…核分裂というものはようするに生態圏の外にある。」(p51)

 「原子力に関する思考の中で、そのことはほとんど追求されてこなかった。このことが原子力エネルギーの生態圏との関係の本質に係ることです。原子力のリスクは本当はこの問題から出発すべきなのに、そのことは無視されてきました。」(p51)

 このような観点から中沢新一さんは約46億年前に核分裂連鎖反応を繰り返す太陽から分かれて誕生した地球の歴史を生態史的視点から総括しながら、ドイツとはちがう新しいタイプの「緑の党」の結成を訴えています。「緑の資本論」から「緑の党」へ。60歳を過ぎて、従来の学問的実績を継承して実践の領域へ。
 
 未だその綱領や行動指針は明らかにされていませんが、私はまずこのような中沢新一さんの決断と行動を支持したいと思います。その上で、資本主義経済の運動法則と社会の歴史を振り返る中で、エネルギー問題と原発の問題を人類の社会史との関係において原理的なレベルで検討する必要があると思っています。

 と同時に、20年近くオーガニックコットン事業を営んできた私たちは、「オーガニック」の基本的な考え方や目的が、地球の未来に開かれる多様な自然ー生態系の保全と、あらゆる生命の尊厳を守ることにあるということから、原発を「クリーンエネルギー」と称して容認する「エコ」や「ロハス」とは思想的立ち位置が根本的に違うということを明確にしていかなければならないのだと思います。

(written by わたのはな)

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by ten_i_muhou | 2011-05-14 23:54 | わたのはな
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