奥出雲の旅(6)有機農業運動の元祖=木次(きすき)乳業
 1950年代から島根県で有機農業運動を進めてこられた木次乳業の創業社長佐藤忠吉さんにお会いしました。
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 当年94歳とお聞きした創業者佐藤忠吉さんは、小柄ながらかくしゃくとして、穏やかな表情の中に時々相手の本質を射抜くがごとき眼光を光らせるとても魅力的な方でした。

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 自然博物館館長の宇田川さんからご紹介いただいた時に最初に驚いたことが、佐藤さんの名刺の肩書きに誇らしく「百姓」と記されていたことでした。

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 木次乳業さんのホームページを見ると次のような記述が目を引きました。

「未完の百姓でございます。

『わたしたちの考える農業』

★小さな米のひと粒にいのちを込める。それが私たちの農業。

 いま人々は誰もが、食に関する危険信号を感じ始めています。ここで私たちは「食べる」ということを、考え直してみる必要があると思います。食べるということ。それは地球上の生物の「いのち」をいただくこと。そして、生命の源としての食べ物を考えていけば、どう作られているかが重要になる。生産者と消費者は、顔の見える関係が理想です。どんな思いで米ひと粒が作られていくか、本当に大切なものは何かを、お互いに理解しあえたらいいと思っています。

★生命力に満ちた大地から生まれたものは、体に安心。
 
 自然の営みを大事にする有機農法から生まれた食品は、人にも環境にも安心と言えるでしょう。自然の力を食する暮しには、安らぎがあります。四季が明確な日本では、野菜にもそれぞれ旬がある。旬は作物が一番素直に育つとき。旬の野菜には体のバイオリズムを整える働きがあり、四季に即した食べ物をとる意義もそこにあります。自然と共に生きることが、木次の農業スピリットです。

★食べ物を商品ではなく「健康な命の源」として考える。

 大自然の仕組みのなかで生産に携わるかぎり、工業製品のように大量生産はできません。あくまでも小規模に、自然のものをできるだけ自然に近い状態で、地域の人々に提供する。それを理想にしています。大自然のサイクルに基づいた製品作りをしているので、少量ずつしか生産できません。いのちある食材として健全であることを、何よりも重視したいと考えます。

★食べ物には作り手の人がらが反映されると考えております。
 
 まず、作る人間が健康でなくては。そのうえで本物の食べ物ができる。自分が食べる気持で物を作る。「人の為」と書くと「偽り」になります。自分のために、安全な食べ物を作ろう。それが広がっていけばいい。これが有機農業の出発点です。しかし有機質も度を越せば、作物はだめになる。土地が肥沃になりすぎると、根を張らなくても成長できるからです。根を張り、懸命に養分を吸い上げるから、作物本来の味になる。人も作物もひもじさや困難に遭遇するなかで、進歩・成長するのです。

★百姓は百の作物を作る人、まだまだ未完の百姓です。
 
 めざすは小規模多品目複合経営です。酪農と乳業だけでなく、農家と加工営農を含めたネットワークを作り、地域的広がりのなかで多面的な生産をしていきたい。そうしたうえで消費者と直結した流通、生産活動ができれば、とても幸せだと思います。いま「食の杜」のゲストハウスには、農業に関心のある青年や大学生だけでなく、社会学や経済学を学ぶ人たちも集まってきて、汗を流しています。土に親しむ人が増え、それぞれの地域で新しい核になってもらえたら、と試行錯誤の日々でございます。」

→なるほどそれで「百姓」。

 ここに、お百姓さん佐藤忠吉さんの過去から未来に向けた思いが端的に語られています。

 1950年代と言えば、都市部では高度経済成長が進められはじめた時代であり、農村部では「農業の工業化」と称して、農協が音頭をとって農薬を大量に使用するアメリカ型の化学農業を普及させていった時代です。佐藤さんはこの時代に「農薬の害」を指摘し、有機農業運動を開始されたのでした。

 その佐藤さんがご自身を「まだまだ未完の百姓」と言い、「試行錯誤の日々」と言う。
それでは自分は何なのか?と問い直した時、まだまだ自分は駆け出しであり「ヒヨッコ」だなあ、と思わずにはいられません。

 奥出雲はたたら製鋼の第13代目当主桜井三郎右衛門さんといい、前奥出雲町長岩田一男さんといい、、木次乳業のお百姓の佐藤忠吉さんといい、底知れない深さがあります。

 とにかく奥出雲はスゴイ!
 
 なかなか願っても得られないこんなすてきな出会いに心から感謝です!


(written by わたのはな)


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by ten_i_muhou | 2012-08-25 01:11 | わたのはな
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